旅のしたく




 何か飲みたいものがあるかとたずねたら、オレンジジュースをください、と、いつもよりすこし沈んだ声が返ってきた。彼女は明るい声質であったし、元気があるようにふるまうことが得意であったから、感情を顕わにしていたわけではない。単に、なんとなく、一騎がそう感じ取っただけだ。
 楽園の店内には午後二時の陽ざしが大きな窓からさしこんで、ぽかぽかとしている。ランチはとっくに終わっていて、店のなかにいるのは一騎と彼女――芹のふたりだけだった。すこし前までは、芹が腰かけている奥まったテーブル席に広登と暉と里奈がいて、来週にせまった卒業式と、その後の懇親会について楽しそうに話していた。しかし彼らが各々に「撮影が」「店番が」と席を立ち、一緒に出て行くだろうと思われた芹は、ひとり残った。楽園で見るときには彼らとたいてい一緒にいる芹が、実のところ、ひとりで行動することも多いというのを一騎は知っていて、何かあるのだろうと思いながら、声をかけたのだった。
 からからとガラスコップに氷を入れて、出来合いのオレンジジュースをそそぐ。そういえばデザートに添えるためのオレンジが余っていたのだと思い出し、他に客がいないのをいいことに、くし切りにし、皮と実のあいだに切り込みを入れたものをコップの淵にさしこんだ。昔はこういう見た目に気を配ることなどなかったのだけれど、楽園で働いているうちに、見た目がきれいなデザートを提供してくれる御門やの真似をしてみたり、客からの希望を取り入れたりして、より、みんなが喜んでくれるように、心がけるようになっていた。
「立上、こっち、来ないか?」
 店のなかはがらんとしている。いちばん離れた席の、それも、陽の当たりにくい場所にいる芹に声をかけると、それじゃあ、と、カウンターのまんなかあたりに席を移した。窓際がいちばん日当たりがいいのではないかと言ったら、「そこは総士先輩の席だから」と彼女がちいさく笑う。そういえば、今日はまだ来ていない。どうせまた時間を忘れて仕事をしているのだろうと思いながら、芹の前にオレンジジュースを置いた。
「いつもと、ちょっとちがいますね」
「サービス。誰もいないから」
 笑って冗談っぽく言うと、「ひみつですね」と言いながら芹も笑った。きれい、とつぶやき、芹がストローに口をつける。そういえば芹も、総士みたいに食べ物を口にするときの所作がていねいだ、と、そんなことを思う。
 何かあったのか、と、自分から相手の胸のうちを問うのは、今も得意ではない。総士相手に限って言えば遠慮をしなくなったけれど、他の人に対してはなかなかむつかしい。そもそも芹が、踏み込まれることを望んでいないかもしれない。そう思って、一騎は芹の前から一歩ずれて、自分のために珈琲を淹れることにした。
 豆を挽く音と、芹が手にしたガラスコップのなかで、溶けだす氷がからん、と立てる音だけが時折響く。
 無言の時間は苦ではない。一騎にとってそういう人は何人かいる。芹もそのひとりだった。いつだったか、まだ総士が失われたままであったころ、土を取りにでかけた山で、偶然に出くわしたときもそうだった。あのとき一騎は総士を呼び、芹は乙姫を呼んでいた。――そこまで思い出して、ああ、もしかして、と、思い至る。芹がこうして物思いにふけっているときは、たいてい――。
「……あの、一騎先輩」
 まるで一騎のこころを読んだかのように、芹がちいさく言った。視線を向けると、オレンジジュースの水面に視線を落としたまま、「卒業式、って、楽しかったですか?」と言葉が続く。
「……どう、だったかな」
 たった一年前のことだというのに、ずいぶん、遠いできごとのように感じられた。
あのとき――一騎たちは、中高一貫となった竜宮島学園の、最初の卒業生だった。それまで島で産まれたこどもたちは、十五歳になってメモリージングが解放されるとともに、例え学期の半ばであっても〝卒業〟するのが当たり前だった。一騎たちは何も知らなかったけれど、特に不思議に思うこともなく、「そういうものなんだ」と思い込んで、島の外へ行くと言われていた卒業生たちを何人も見送った。そのうちの数十人は一騎たちの知らぬ間に亡くなっていた。それを知ったのは、ずっと後のことだ。
 きっとあのころ、卒業式は、意味を知っているものにとっては喜ばしいと言えるものではなかったのだろう。こどもとおとなの、境界線。平和な時間のおわり。真実を知り、どう生きるかを選ぶ節目。今までおとなたちがそうしてきたように、後輩に、ともだちに、秘密を抱えて暮らしていくという決断。みずから望んだわけではなく、そうさせられる、、、、、、、
 だからだろうか。一騎たちの卒業式に本人たちよりも喜んでいたのは、かつて卒業を経験した弓子たち先輩や、親たちだった。あの史彦でさえ――公蔵亡きあと、彼は学園長という立場なので、座りが悪そうな顔をしながら卒業証書を渡してくれた――涙ぐむ顔を隠せていなかった。
生きて、生き延びて、学校生活を終えることのできるこどもたちがこんなにいたことは、きっと今までなかったのだ。それはおそらく、島に移り住む前も。戦争のなかを生きるしかなかった、史彦たちの世代も。
 他方、かつての世代とはちがい、学校へ通いながら戦いに身を投じることとなった一騎たちにとって、学校という場からの卒業は、真実と向き合うことと同義では、もはやなかった。しかし、いよいよおとなと同じ立場になるのだ、という緊張が、みんなのなかにあったように思う。それと同時に、今まで島の誰も経験したことのない、「みんなで一緒に卒業を迎える」ということ、そのものへの、浮き立つおもいがあった。
「――楽しかったかは、わからないけど……、うれしかったよ、たぶん、みんな。一緒に大きな節目を迎えるっていうのが初めてだったから。中等部から高等部にあがるときは、俺も総士も、咲良もいなかったし」
でもほんとうは、そこに、いるはずだった卒業生のことを、みんながこころのどこかで思い出していたのだろう。誰からともなく、式が終わった後に「墓参りに行こう」という話になっていた。
 果林も、翔子も、衛も、ほんとうなら、ここにいた。存在が不確かな、甲洋も。
 以前のようにひとりひとりが卒業と称して見送られることもなく、初めての卒業式で名前を読み上げられることもなく、かれらは、遠くへいってしまった。それだけが、さみしかった。笑って隣にいたかもしれない、かれらのすがたを、みんながきっと思い描いていた。
 芹は一騎の言葉を静かに聞いて、ぽつん、と、つぶやいた。
「……わたし、卒業式のこと、楽しみじゃないわけじゃ、ないんです。ただ、乙姫ちゃんのことばかり考えてしまって……」
 ああやっぱりそうか、と、一騎は目を細める。芹がなにかを考えこんでいるとしたら、きっと、彼女のことだろうと思ったのだ。
「卒業式って、名前を呼ばれるじゃないですか。ひとりひとり呼ばれて、卒業証書を渡されて。昨日予行練習をしたんですけど、そこで気づいちゃったんです。乙姫ちゃんの名前は、呼ばれないんだ、って」
 わかっていることなのに、おかしいですよね、と、芹は手元のジュースをストローでくるくるかきまぜた。オレンジジュースと同じように渦巻く感情を、芹はきっと、他の同級生たちには言えなかったのだろう。かれらよりすこしだけ早く大人びた顔つきになってしまったのは、喪った存在を愛しみ、そのために厳しい道へ進もうと決めたからなのかもしれない。在学中から熱心に医学の本や、アルベリヒドの研究員が公開している資料を読みふけっているのだと、剣司が言っていた。
 ――医学も特殊医療も、どっちもやろうって思ってるんだよ、立上。片方だけでもすごく大変なのにさ。
どうしてそこまでするのだろう、とは、剣司も一騎も思わなかった。芹が必死になる理由などひとつしかなく、それは、剣司にも一騎にも、経験のあることだったからだ。
一騎は挽きおわった珈琲豆をフィルターに入れ、湯をそそぎながら、目を伏せる。言葉で伝えるのは得意ではないけれど、視力をほぼ失うという経験したからなのか、こうして目を閉じると、言いたいこと、言わなければいけないことが、目を開けているときより鮮明になる。
「おかしくなんて、ないだろ。誰かがそこにいないことをわかっていても、きっと何度でも、毎日でも、やっぱりいないんだって思う。まるで初めてのことみたいに傷ついて、苦しくなる。なんで、どうして、って……思ってたよ」
「……それは、総士先輩がいなかったときですか?」
 伏せていた目を開けて、一騎はうなずいた。フィルターをとおしてサーバーにそそがれた珈琲は、酸味よりも苦みやコクの強い、総士が好きな味だ。あのころ、淹れることを覚えたばかりの珈琲を飲みながら、総士はいったいどんな味が好きだったのだろう、それを淹れてやれる日が本当に来るのだろうかと、毎日考えていた。
「卒業式ってひとつの節目だから、より強く、いない、ってことを感じるような気がする。おかしいなんてことはないし、きっと……他のやつらも、おなじこと、思っているんじゃないか?」
 ふだんとりたてて口には出さないけれど、広登たちはとても仲間想いだ。ひとりでいることの多い芹を気にかけていることも知っている。そんなかれらだから、乙姫のことを忘れているはずもなく、また、芹のどこか心ここにあらずのようすを、放っておくこともないだろうと一騎には思える。ひとりここへ残った芹を無理に連れ出そうとしなかった、そのことも、かれらの気遣いではないかと思うのだ。
 芹はすこし、表情をゆるめた。
「わたし、乙姫ちゃんはどこにでもいる、って、思っているんです。この島そのものが、わたしにとって乙姫ちゃんで、わたしがこうして息をしていられるのは、乙姫ちゃんのおかげだから。だけど、手をつないだり、一緒に虫取りをしたり、おいしいものを食べたりできない。そういう意味で、もう乙姫ちゃんはここにいなくて、それはすごく、さみしいです。一騎先輩が言うみたいに、毎日、ちょっとした瞬間に、思い出します。だから余計に自分でもふしぎだったんです。卒業式で名前を呼ばれないことに、こんなに衝撃を受けるなんて、って」
「……うん」
「だけど、そうですね。卒業式って、節目だから……今から学校を出て、おとなになる。わたしのなかで、ずっとあのときのまま、十二歳のままの乙姫ちゃんと、ほんとうに、ちがう時間が流れているんだって、改めて思ったからなのかもしれないです」
 聞いてくれてありがとうございます、と、そう言った芹の声は、やっぱりすこしさみしそうだった。

        *

「お前と立上の仲が良いのは意外だった」
 オレンジジュースを飲み干して、それはサービスだからいいよ、いえでもそんな、と、芹とレジの前で押し問答をしていたタイミングで、総士は楽園のドアを開けた。「卒業祝いの前払い」と固辞する一騎に、総士の視線もあるからだろう、芹は言い募るのをやめて、「卒業したらいっぱいご飯食べに来ますから!」と言い残して帰って行った。
「――意外かなぁ。まぁ、確かに、いつも話しているわけじゃないけど、お前がいなかったとき、よく山で会ってたよ」
「……山?」
「俺は土を取りに行って、立上は虫を取りに来てた」
 クロッシングしていたのにわからないのか、と言うと、総士は「そこまで鮮明にお前の言動を捉えられていたわけではない」と答える。確かに、一騎の一挙手一投足が記憶力のいい総士に見られていたとしたら、いろいろと困る。
「立上は……、元気そうだったか?」
「うーん……ちょっとは元気になったような気がする」
「なんだそれは」
「お前こそ、なんでそんなこと聞くんだ?」
 訊ねると、総士はガラスコップの水をひとくちふたくち飲んだあとで、「ゆうべ遅くにアルヴィスですれちがったんだ」と言った。
 芹がアルヴィスに顔を出すのはいつものことだ。本来であれば入室の権限が付与されていないワルキューレの岩戸に、彼女はコアの意思で入ることができる。そこで産まれ、そこに還った乙姫のことも、新たなコアのことも、芹は慈しんでいる。総士はよくそこで芹に会うのだと言っていた。けれど、ゆうべはようすが違ったらしい。
「ふだんよりも遅い時間だったし、どこか……沈んでいたような気がして、すこし気になったんだ」
 総士は、人のことをよく見ている。昔は言葉が足りずにすれちがいも多かったが、人の感情に疎いわけでもなければ、冷たいわけでもないのだ。パイロットだから、指揮官だから、という理由だけではなく――もちろん、戦闘において判断が必要な場合、最終的に総士が選ばざるを得ないのはその関係性なのだが――総士は仲間たちに気を配っている。特に芹に対しては、だいじな妹の友人だから、というきもちもあるだろう。
 他者の悩みをあけすけに伝えるのは気が引けるので、「皆城乙姫のことでちょっと考えていたみたいだけど、もう大丈夫だよ」とだけ告げて、一騎は手元に用意した熱々のフライパンへ、溶いた卵を流し込んだ。今日のランチはもう売り切れているから、総士へ出すのは賄いのオムライスだ。どうせそのうち顔を出すだろうと思って一騎も昼を食べていなかったので、二枚用意した皿のうえにはすでに、ほかほかのチキンライスがまるく盛ってある。卵で包みこむかたちのオムライスではなく、半熟とろとろの卵を上に乗せるタイプだ。卵のさらにうえに、ランチですこしだけ余ったカレーをかけてやれば、お腹をぐうぐう言わせている、意外に食いしんぼうな男へ出すのにはちょうどいい高カロリーな賄いができあがる。
 湯気を上げる皿をカウンターのテーブルへ乗せてやると、総士のくちもとがゆるんだ。
「こんなものを食べていると知られたら、お前の味を目当てで通う常連に嫉妬されそうだな」
「賄いどころか朝も夜も食べることだってあるしな」
 お前だけだぞと言いながら総士の隣に一騎も腰をおろした。スプーンにのせたあつあつのオムライスへ、ふうふうと息をふきかける総士の髪が前へ流れて邪魔そうだったので、そっとすくって耳へかけてやる。くすぐったそうにしながら、すまない、と短く言った総士はそのままぱくりとスプーンをくわえた。どちらかと言えば怜悧な目元がほわほわとゆるんでいくのを見つめるのは、一騎にとってしあわせな時間だ。
「うまいか?」
「胃に沁みる美味さだ……」
「もう三時だしなぁ」
 ちゃんと昼時に来いよと言いながらくすくす笑う。総士が研究に没頭するのはなぜなのか、わかっているから強くは言わない。からだのことは心配だけれど、よほど根を詰めたときには総士自身が自覚して、一騎に助けを求めてくるから、一騎はそれを待っている。総士がそんなふうに頼るのは自分だけだと、わかっているから。
 ――ああ、でも、あと三年とすこしだ。
 そのあと、総士はどうするのだろう。
 未だ一騎自身も正しく輪郭を捉えることのできない、いのちの期限というものを、ときどきふと考える。総士は、自分もこのままいけば長くはない、と言う。ひとと異なる組成のからだは未知のままだけれど、総士が言うのならそうなのだろうと一騎は思う。ただ、きっと、一騎のほうが総士を置いていくのだ。
 一騎は総士を喪ったことがある。となりに存在がない、その不安定さを知っている。けれど総士はそれを知らない。一騎を喪う、そのことを、総士は、本当に味わったことがあるわけではない。無の世界にただよっていたころ、総士はクロッシングした一騎の存在によって自己を保ち、一騎のもとへ帰ることを、唯一のみちしるべにしてくれていた。だからこそ、自分がいなくなったあとの総士のことを考えると心配になる。
そんなことを口に出せばきっと、総士は「それよりもお前自身のことを考えてくれ」と言うにちがいない。前に、似たようなことをぽつりと零したとき、ひどくかなしそうな顔でそう言われたから、わかる。
 考えていないわけではない。考えても、わからないのだ。自分自身で、いのちの限界を延ばすことなどできない。そうなれば、〝考えるべきこと〟は残りの時間をどう過ごすかと、おいて逝くものたちへ何を遺すかということに尽きるのではないだろうか。
 いのちの終わりを見つめながら歩くことは、なにも一騎に限った話ではない。みな等しくいのちは終わる。皆城乙姫がその身をもってこの島へ、ミールへ伝えたように、いのちは終わるから生まれ、生まれるから、終わる。ただ、一騎に与えられた時間は本来想定された寿命というものよりも短いという、それだけだ。――たったそれだけ。今この世界において、そういう人間はきっと山ほどいる。明日のいのちすらわからない、一騎みたいに、期限を告げられることもなく、突然喪われるいのちだってたくさんある。
 そのことを考えるたび、自分のいのちは、残りの時間は、なんのためにあるのだろう――あるべき、、、、なのだろう、と、思う。束の間でも、上辺だけでも、穏やかで平和な時間を保障され、暮らしている、この、自分のいのちに。
 ――総士のために使えたらいいのに。
 そんなふうに考えたこともある。総士が自分自身のために生きられないのなら、自分が総士のためだけに、生きてやれたら、いいのに。きっと総士は、それをこころのどこかでは望み、けれど決して、肯定しないのだろう。そう思うから、口にしたことはない。
 そのかわり、総士のことを心配し、食べるものをつくり、息抜きに散歩に連れ出し、山を見て、海を見て、すきなことを話して、夜になったらだきあって眠る。ともに過ごす時間という遺産を、日常のなかで積み重ねてゆく。
 ――俺がいなくなったら、お前も、立上みたいに、おもってくれるのかな。
 もぐもぐとオムライスを頬張るかわいい横顔に手を伸ばして、ふくらんだ頬を指先で軽く撫でると、なんだと言いたげな灰のひとみが一騎を見る。年齢を重ねて総士の輪郭はおとなびたというのに、以前よりも表情が豊かに――いや、無防備に表情を出すようになったせいか、ときどきものすごく幼く感じられることがある。この顔が、一騎を喪って、失われなければいいな、と、思った。
 一騎の不在にこころを痛め、苦しみ、毎朝起きるたびにそれを自覚して、たとえば真壁家の前で、例えば楽園の前で、総士自身の部屋のなかで、あちこちにちらばる一騎との思い出に胸をしめつけられたとしても、どうか、しあわせに暮らしてほしい。
 ――立上、やっぱり、かなしむより、笑っているほうがいいよ。思い出して、さみしくなっても、最後には笑っていてほしいって、皆城乙姫もきっと、思うよ。
 総士の肩にもたれかかると、「どうした? 具合でも悪いのか」と心配そうな声がする。へいきだよ、と答えてぐりぐりと頬を押し付けると、「今日はずいぶん甘えてくるな」とやさしい笑みがこぼされた。

 卒業よりもひとつ先、このいのちの旅立ちのしたく。
 どうやったらうまくできるだろう。してやれるだろう。
 お前が喪われることにばかり怯えていた俺には、お前から俺を奪うそのときがくる未来が、やっぱりうまくは描けない。
一騎は声に出さずに胸のうちでつぶやいて、総士のぬくもりにすがった。